
愛犬や愛猫の不妊手術をするかどうかで、迷う飼い主さんは少なくありません。「健康なのに手術するのはかわいそう」、「自然ではない」と考えてしまうからです。
米国では、不妊手術を「FIX」と呼びますが、これには、「動物は不完全な状態で生まれ、手術で修復して完璧になる」といった語感があります。獣医師が手術を勧める時も、「不妊手術はしないのですか?」ではなく、「まだしていないのですか」という現在完了形で聞きます。
日本でも、ペットの不妊手術をごくあたり前のこととする考え方が浸透してきています。

1.病気を予防するメリット
乳腺腫瘍や子宮内膜炎、子宮蓄膿症などの病気にかかるリスクを減らせます。
糖尿病の予防にも効果があります。メスはオスの2倍、糖尿病になりやすいと言われますが、発情期に分泌される黄体ホルモンがインシュリンの働きを妨げるからです。
2.家庭や社会でのメリット
発情期の出血や体調の変化にわずらわされなくてすむという「家庭でのメリット」
発情によってオス犬に与える影響がなくなるという「社会的なメリット」
情緒的にも感情的にも安定して、守備や攻撃のためにとる行動を抑制できます。
3.避妊手術を受けるタイミング
最初の発情期を迎える前、生後6ヶ月頃に手術を行えば、乳腺腫瘍はほぼ防げると言われます。
成長期の女性ホルモンの作用、あるいは手術に対する体力などの観点から、2回目の発情期を迎える前に手術を行うという判断もあります。
4.避妊手術と肥満
ホルモンが変化するために、必要とするカロリーは15〜20%減少します。また、生後6〜10ヶ月では成長がスローダウンするので、それまでと同じカロリーを与え続けると肥満になりやすいのです。そのため食餌管理が必要です。

1.病気を予防するメリット
オス犬は、7歳を過ぎると前立腺肥大、精巣腫瘍、肛門周囲腺、会陰ヘルニアなどの男性ホルモンのバランス異常による病気にかかりやすくなります。去勢することで、これらの病気の発生率を低く抑えることができます。病気の予防効果とともに、繁殖の欲求を満たすことができないストレスからも開放されるので、手術を受けた場合には、寿命が2〜3年は延びると報告されています。
2.家庭や社会でのメリット
オス性ホルモンのテステロンの分泌が減り、競争的な行動や性的な攻撃行動が減ると言われます。
外でのマーキング(排尿)の回数が減り、むだ吠えや他の犬へのケンカを抑える効果も期待できます。手術後すぐに変化が現れるわけではなく、4週間ぐらいでかなり少なくなり、6ヶ月後にはほとんどおさまると言われます。犬そのものの根本的な性格はあまり変わらないので、問題行動の解消を目的にすると、期待どうりにはならないこともあります。

1.病気を予防するメリット
子宮内膜炎、子宮蓄膿症及び乳腺の腫瘍(猫の場合は悪性腫瘍の確率が高い)などの発生率を低くできます。
2.家庭や社会でのメリット
メス猫は年に数回発情期を迎えます。猫の場合は発情期に陰部からの出血(排卵出血)は見られません。交尾によって、排卵が促されるので、妊娠する確率はとても高くなります。
オス猫を求めて、昼夜を問わず大きな鳴き声を出し続けたり、トイレ以外の場所で排泄してしまうといった発情行動は、避妊手術をすることでなくなります。
3.避妊手術を受けるタイミング
最初の発情期を迎えたかどうかは関係なく、生後6ヶ月から可能です。避妊手術は一般的には卵巣を摘出するもので、発情中でも手術ができます。

1.家庭や社会でのメリット
メスの奪いあいや縄張り争いによるケンカの発生が抑えられます。
尿の異臭も軽減されます。
2.去勢手術を受けるタイミング
生後6ヶ月から可能です。マーキング行為(オス猫特有のスプレー行為=臭いの強いオシッコを霧状にあちこちに噴霧する行動)が習慣化しない前の手術が勧められます。
去勢手術は精巣(睾丸)を摘出する方法です。開腹をしないので、手術時間も短く、簡単です。
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